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🥊【観戦記】那須川天心 vs 井上拓真──「兄弟の絆」と「神童の証明」、12ラウンドの死闘が残したもの
昨夜行われた注目のビッグマッチ、那須川天心対井上拓真。テレビ観戦ではあったが、画面越しにも伝わる異様な緊張感と熱気、そして12ラウンドが一瞬に感じられるほどの濃密な攻防は、ボクシングの醍醐味そのものだった。
この一戦を通じて見えたのは、単なる勝敗を超えた「兄弟の絆」、そして敗れてなお輝きを増した「神童の真価」だった。
🎌会場の空気を変えた「兄の一挙手」
試合前の入場シーンから、すでに勝負のアヤは動き始めていたのかもしれない。リングインした那須川天心への歓声は凄まじく、会場全体が彼を待っていたかのような大歓声に包まれていた。
対照的に、井上拓真の名前がコールされた瞬間、歓声のボリュームはやや劣勢に感じられ、アウェーのような重い空気が漂った。
しかし、その空気を一変させたのが、セコンドについた兄・井上尚弥だ。彼が観客に向かって手で「もっと声を!」と煽るような仕草を見せた瞬間、会場は爆発的な大歓声に包まれた。
このシーンは私の記憶に深く刻まれた。 それまでの天心への声援の正体、そして拓真への声援の着火点。やはりこの会場の空気を作っているのは、ボクシングファンという巨大な層なのだと再認識させられた瞬間だった。事実、ゴングが鳴れば拓真への後押しの方が大きく感じられるほど、会場のボルテージは最高潮に達した。
👊「怪物」が見せた、弟を想う兄の顔
試合中の井上尚弥の表情も印象的だった。彼自身がリングに立つ時の、あの冷徹なまでの自信に満ちた表情とは全くの別人だった。
弟の一挙手一投足を見つめる目は、今まで見たことがないほど心配そうで、張り詰めていた。
勝った本人である拓真以上に喜びを爆発させる姿。幼い頃から共に汗を流し、苦楽を共にしてきた兄弟だからこその、嘘偽りのない感情の発露だったのだろう。

🧠誤算と修正──勝負を分けた「半歩」の距離
試合展開に目を向けると、序盤は天心の動きが際立った。 予想では天心はもっと足を使い、動き回るスタイルをとるかと思われたが、実際はどっしりと構えるスタイルを選択していた。これが功を奏し、拓真のパンチはあと「半歩」が届かない。天心のリーチの長さと卓越した距離感が完全にハマり、2ラウンド目には有効打をヒットさせた。 この時点では「KO決着もあり得る、天心に分があるか」と思わせるほどの緊張感が漂っていた。
潮目が変わったのは3ラウンドあたりからだ。 「警戒しすぎるな」という尚弥の声が聞こえたかのように、拓真がギアを一段上げた。距離を潰し、パンチが確実に届くインファイトの領域へ踏み込んだのだ。 ここから中盤以降、拓真はポイントを確実に奪取していく。
一方で疑問が残ったのは、天心が終盤までスタイルを変えなかった点だ。 中盤、劣勢になりかけた場面で、彼本来の持ち味である「スピードのある動き」に切り替えれば、展開は変わっていたかもしれない。
なぜ戦い方を変えなかったのか。12ラウンドを見据えたスタミナ配分のためだったのか、あるいは拓真のプレッシャーがそれを許さなかったのか。その真意は本人にしか分からないが、結果としてこれがポイント差を生む敗因の一つになったことは否めない。
「引き出しの多さ」と「当て感の天才」
技術論で言えば、やはり井上尚弥と那須川天心の「パンチの当て感(ヒットセンス)」は超最高レベルにあると改めて感じた。キックボクシング時代から天心が持っていた才能は、ボクシングのトップ前線でも十分に通用していた。
しかし、今回は「引き出しの多さ」で拓真が上回った。 接近戦での打ち合い、インファイトでの老獪さ、そして試合中に修正する能力。拓真の方が一枚上手だったと言わざるを得ない。
敗北が証明した「神童」の実力
結果として、井上拓真が勝利して本当に良かったと思う。 もし彼がここで負けていれば、引退の可能性も高かっただろう。まだ29歳。これからさらに強くなる可能性を秘めたボクサーを失わずに済んだことは、ボクシング界にとっても大きな意味を持つ。
そして敗れた那須川天心。 無敗の神童に土がついたわけだが、この一戦で彼の評価は落ちるどころか、むしろ上がったのではないだろうか。 これまで「ボクシングではまだまだ」と批判的な声もあったが、バンタム級の実力者である拓真を相手に、これほどのベストバウトを演じたのだ。彼が間違いなくボクシングでもトップ戦線にいる実力者であることを、世間に納得させた一戦だった。
手に汗握る12ラウンドはあっという間に過ぎ去った。 勝者にも、敗者にも、明るい未来と無限の可能性を感じさせる名勝負。これからの二人の歩みに、ますます目が離せなくなりそうだ。

最後に、
ディフェンス能力抜群な2人の顔にはキズ1つない綺麗な顔してましたね。。。














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